電子書籍端末は自分の本棚を携帯できるということだ

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電子書籍について様々な観点から日々語られている。私自身も3/19に「電子書籍を語る会」なるものを主催させていただく等、電子書籍について考える機会が日に日に増えている。
私は最近「電子書籍端末があったら日々の生活はどう変わるだろう」とよく考えるようになった。ということで、今日は至ってシンプルにユーザーの視点で考えてみたい。

日々の生活の中での変化

私は電車で本を読むのを日課にしていて、何冊かを常に携帯している。
1日に何冊も持ち歩いているのは気分によって読みたい本が変わるからだ。しかし、持ち歩いたいずれの本も気分があわず読まずに終わってしまうこともある。


本は「読みたい!」と思えた時が最高の読み時だと感じる。私は豊洲にある紀伊國屋書店によく通っているが、読みたい本がないかを平気で1~2時間をかけて物色している。
内容まで読むことはあまりないが、大抵目次を一通り見て、面白そうな本を購入する。そして、1冊は読みたいと思った勢いに任せて読むがあっという間に読み終わってしまう。
問題は、同時に購入した読み切れなかった本だ。これがまたいわゆる「積ん読」状態に陥ってしまう。
電子書籍はこの辺の問題をかなり緩和してくれるんじゃないだろうかと考えている。
購入した本はひとつの電子書籍端末を常に持ち歩いているだけで、いつでも好きな本を選んで読めるようになる。つまり、自分の本棚の在庫をすべて持ち歩きながら生活ができるということだ。
思えば、iPodが登場したときも同様の問題を解決してくれた。
私は音楽も大好きで家には何百枚というCDがある。iPodが登場する前は、聞きたいアルバムを慌ただしい1日のはじまりに選んでは、家を出ていた。
しかし、これが不要になった。常に何万曲も持ち歩けて、その中からその時の気分に合わせて再生するようになった。
同じことが本でも可能になる。これは素晴らしいことだと日々想いはます。

購入シーンも変える

本の購入シーンも変わるだろう。これもiTunes Storeを例に出せばわかりやすい。
私はいま欲しい曲があった場合は、まずiTunes Storeで検索する。私は洋楽が多いので、わりかし売っているが、あればサンプルを改めて聞いて購入する。
iTunes Storeにもないことがあって、Amazonでも1~2週間後の入荷とかなっていた日には、我慢できずにHMVに向かったりするが、当然のごとくないことが多い。
結局あきらめて、Amazonで注文するか、購入じたいを保留にしてしまうこともある。
この流れが電子書籍でも発生するはずだ。

問題はコンテンツの充実度

iTunes Storeが登場したときもそうだったが、邦楽は当初本当に品揃えが薄かった。はっきりいって検索するのも無駄と感じるレベルであった。
iBook Storeでもまずはこの問題に遭遇するだろう。
一部の出版社の本しか扱われていないという状態になる。ここで議論をごちゃまぜにしてはならないのは、やっぱり売れないという結論を早急に出してしまうことだ。
リアル店舗でも品揃えの悪い本屋がなりたたないように、当然iBook Storeでも本が充実していなければなりたたない。
しかも、音楽と違い圧倒的に洋書よりも日本語の書籍へのニーズが高いはずである。どの程度iBook Storeが本を充実できるかが、最初の重要ポイントになるのは間違いないだろう。

書店へ行く機会は減るのか

これは自分でもまだわからない部分である。
CDを買いに行く機会は恐ろしいほど減った。昔は頻繁にHMVに通っていたが、最近はほとんど行っていない。
ただ、これがそのまま本でも言えるかどうかは不明瞭だ。
なぜなら音楽の場合、視聴ができることが最良だからだ。もちろんジャケ買いの楽しさもあるが、店舗で視聴をして新たなアルバムを発掘するのがなんとも楽しかった。しかし、これはiTuens Storeなら全曲で可能になってしまった。しかもGenius機能が、自分が持っている曲からお勧めの曲をセレクトしてくれる。これは非常に心地よい。
本屋に1~2時間入り浸ることがざらな私だが、Amazonでも本をよく購入する。話題の本であれば間違いなく当日に届けてくれるし、在庫も豊富で検索も便利だからだ。
それでも、本屋には足を運んでいる。やはり本屋でぱらぱらと本をめくりながら、欲しい本を物色する時間はなんとも楽しいものだ。これがiBook Storeでどのような感覚で味わえるのか。これは体験するまでわからないだろう。
現時点では、私にとって書店はかかせないものである。その書店が厳しい状態にさらされてしまうのはなんとも複雑な気持ちになる。この問題についても折りを見て触れさせて頂きたい。
しかし、電子書籍の登場はイチユーザーとしては楽しみで仕方がない。しかし当面は不便さと付き合う覚悟も必要になるだろう。4月末いよいよiPadが登場し、最初の扉が開く。

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。