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9月1日に行われたAppleのイベントで、音楽のソーシャルネットワーク「Ping」が発表された。

実は私にとってはこの日のイベントの中で、最も意外な発表だった。
「Ping」の誕生は、Appleも無視できないほどソーシャルメディアの力が増していることを意味しているのかもしれない。



私はこの「Ping」というサービスに是非成功してほしいし、多くのユーザーを獲得して欲しいと思っている。今回はPingに期待する理由とその課題について考えてみたい。

「Ping」に期待する理由


「Ping」は音楽に特化したソーシャルネットワークだ。
最大の目的はユーザーが「音楽に出会う」こと。その助けとなるのが「Ping」だ。

音楽に特化したソーシャルネットワークはとても歓迎である。
なぜなら、音楽の興味関心というのは特殊なものであり、好みの音楽を見つける為には、気が合う仲間からの情報よりも音楽の好みが近い人からの情報の方が参考になる。つまり、音楽に特化した人と人とのつながりが必要になると私は思う。

そして、AppleによるとiTunesは1億6000万人のユーザーによって使われているらしい。
これはAppleがソーシャルネットワークに必要なスケールメリットを最初から備えていることになる。しかも、ほぼ100%のユーザーが自分が聞いている音楽のデータとともにiTunesを使っているという圧倒的な情報も活用する能力を備えている。

音楽という属性をもった圧倒的な規模の利用者を誇るiTunesのスケールを活かして「あなたの好みに似たユーザー」や「好みが近いユーザーが好きな曲」を提案してくれれば、これはとても面白い事になる。

現在の「Ping」の残念な理由


大きな問題が現状2つあると思われる。

まず1つ目は、iTunesで販売されているアルバムや曲しか扱えないこと

これは本当に致命的だ、多くの曲を扱っているであろうアメリカからもこの点の批判が出ているようだから、日本なんて話にならないレベルだ。どんなにおすすめのアーティストがいてもiTunesで扱われていなければ、人に勧めることもできない。
Appleとしては売上につながらないと意味がないと考えるだろうが、そもそも音楽を勧め合う場が形成されなくては購買に繋がらないのだから、すべての楽曲を扱える事は欠かせない条件ではないだろうか。

2つ目は、ユーザーとユーザーが出会う仕掛けがないこと

いま他のユーザーを見つける手段は、名前を入力して検索するしかない。
しかし、これだけでは私が「Ping」に期待している、好みが近いユーザーを見つけることはできない。
これでは、FacebookやTwitterで好きなアルバムを紹介するのと何ら変わりがない。むしろ限られた楽曲しか扱えない分だけつまらないものになってしまう。

英語版ではFacebookとの連携が当初利用できたらしいが、これだけではPingを使っているユーザーは発見できたとしても、好みが似たユーザーしか発見することはできない。これではあまり意味が無い。

これらが改善されない限りPingの成功はないのではないかとさえ思っている。

iTunesの中でしか機能しない「Ping」は問題か?


TechCrunchでこんな記事があった「iTunes Pingが(少なくとも今のところ)全く期待はずれな件」思う所はとても近いのだか、その中でクローズドな点に関してはちょっと違う印象を持っている。

ソーシャルメディアという観点で考えれば、クローズドな世界は歓迎すべきでないかもしれない。
しかし、「Ping」に関していえばその限りではない気がしている。

なぜかというと、「Ping」と触れるのは音楽を探したい時だけでいいからだ。かつてHMVなんかで、おすすめアルバムを試聴するのが好きだったが、そんな感覚を「Ping」がもたらしてくれれば良いと思う。
それに既に規模も備えているということもある。そういう意味でクローズでもいいと思う。

最後に、私は音楽の偶然の出会いを与えてくれる「Genius」機能が大好きだ。
これはソーシャルから集められた情報によって勧められたアルバムや曲を紹介してくれる機能だと理解している。これによってたくさんの名曲とも出会った。

私は「Ping」に「Genius」の発展系を期待している。

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