MySpace、買収額の16分の1の価格で売却 – 6年間の訪問者数とこれから

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News Corpは6月29日(米国時間)、2005年8月23日に5億8000万ドルで買収したMySpaceを、16分の1以下の3500万ドル(推定値)で広告会社のSpecific Mediaに売却した。News CorpがMySpaceを買収してから訪問者数は3年間増加を続けたが、2008年8月以降は下降を続け、皮肉にも買収時の訪問者数まで戻ろうとしている状況だ。
6年間のMySpaceとFacebookの訪問者数の推移を示すグラフをちょうど6月にコムスコアが先日発表している。一見緩やかな動きのように見えるグラフだが、数値と比べてみればジェットコースターのような推移をたどっている。
もちろんFacebookの影響が大だが、2010年8月といえばちょうどTwitterがMySpaceが訪問者数で追い抜いた時期でもある。(コムスコアの調査)Twitterがソーシャルメディアの潮流を変えたと私は思っているので、この関係性も興味深く感じている。(グラフ:comScore

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MySpaceは2010年5月から転がり落ちるように訪問者が減少しており、1年間で50%も訪問者が減少している。
2010年11月には大幅なリニューアルを行ったが、訪問者をくい止めることはできなかった。転落模様はこのグラフの方がわかりやすいだろう。(グラフ:BUSINESS INSIDER

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これからのMySpace

これからのMySpaceについてだが、まずは現在500名程度の従業員のうち、半数以上がレイオフされる見通しのようだ。その上で、買収したSpecific Mediaがサービスの立て直しを図る。
Specific Mediaはクロスメディア展開を得意とするオンライン広告会社で、Fortune 500企業などにサービスを提供している。今後は取引先に新しいチャネルとしてMySpaceを売り込んでいくことになるだろう。
さらに、ミュージシャンであり、映画「ソーシャル・ネットワーク」でショーン・パーカーを演じたジャスティン・ティンバーレイクも今回の買収に関わっており、今後もクレイティブ・ディレクターとしてMySpaceの戦略策定において中心的な役割を担うようだ。
彼はMySpaceの今後についてこのように述べている。
「ファンが自身の好きなエンターテイナーと交流し、音楽を聴き、映像を見て、かっこいいモノを発見し共有し、つながりあえる場が求められています。マイスペースはそのような場になりうる可能性を秘めています。」
「芸術は人に影響され、その逆も真なりです、なので社会的に楽しむための構成要素は自然に存在するのです。マイスペースを、アーティストとファンがともに一つの共同体を形成するための社会的なメディアとしてマイスペースを使用し盛り上げる助けになれることにとても興奮しています。」
もともとMySpaceは有名無名に関わらずアーティストが多数参加するSNSとして成長しており、2010年11月のリニューアルでも、さらにその点を強調する変更を行っている。
その方向性は変わらず、エンターテイメントをより楽しめる場所として成長しようとしているようだ。彼の発言でひとつ興味深いのは「芸術は人に影響され」の部分。創造活動を楽しめる場所として発展していくことは面白い方向性であると感じる。
今回の買収により、おそらく企業とアーティストのタイアップ広告が展開される場所としての位置付けは明確になる。その上でアーティストとファンが交流する場所として、ジャスティン・ティンバーレイクが舵取りをしていくことになるようだ。
しかし、日本国内が市場としてターゲットになるのは相当先のことになりそうだ。まずは米国で仕組みを構築ことになり、成功した暁には日本でも大きな動きがあるかもしれない。
正直誰もがMySpaceの復活はないと考えているだろう。この流れをSpecific Mediaが変えることができるかどうか。今後のメディアを占う上でも注目の動きとなりそうだ。

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。