足あと機能変更から見えるmixiのジレンマ

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mixiは「足あと機能」を「先週の訪問者」として6月13日より刷新することを発表した。
個人的には歯切れの悪い改良と感じていたが、mixiには「mixi 足あと機能改悪反対!」コミュニティが立ち上がっており、3日経過した時点で2万7000人の参加者が集まっており、反対の声が多く上がっているようだ。(※6月15日時点で19万人を突破している)

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いままではすべての「足あと(訪問者履歴)」がリアルタイムに記録されていたのに対し、今後は友人や友人の友人までの訪問履歴が「先週の訪問者」として翌週に1週間分の訪問者が表示されるようになる。(mixi同級生、同僚ネットワーク経由の訪問者も表示)
コミュニティ説明文には、今回の変更に「利点なし」としつつ、欠点として以下をあげている。

リアルタイムでない訪問履歴では意味がない
コミュニケーションにはタイミングとスピードが重要。1週間ものタイムラグを置いて、訪問者の履歴をお知らせしてもらっても意味がない。
すべての足あとが表示されないのはセキュリティ上不安
新しい『先週の訪問者』では、「友人」「友人の友人」「mixi同級生」「同僚ネットワーク」 しか表示されない。これでは、何らかの悪意を持つ誰かが「ログイン時間のチェック」を繰り返すなどのストーカー行為を繰り返していても対処ができくなる。また、誰が日記を読みにきたかもわからない。
足あとからの交流がなくなる
見に来てくれた人がわかるからこそ、日記を書くモチベーションもあがるというもの。また、「『足あと』を見てお礼に“訪問返し”をする」という交流もできなくなってしまう。
▼しかもまったく関係の無い赤の他人や第三者は一週遅れでも表示されないように改悪されます!

トピックの投稿をを見ると、「ネットストーカー」の被害への懸念など、セキュリティ上の不安をあげている人が多いようだ。
mixiは今回の変更に到った理由として、3点あげている。

  • 「mixiボイス」では、自身のトップ画面にマイミクシィの投稿が表示される仕様のため、「足あと」をつけずにコミュニケーションができる
  • 「mixiアプリ」など「足あと」がつかないサービスの多様化も進んでいる
  • 「足あと」機能が担っていたフィードバック要素を網羅した「イイネ!」が導入され、より簡単にマイミクへフィードバックを返すこともできるようになった

私は「足あと機能」にあまり良い印象を持っていない。
mixiは大多数が匿名なので、名前だけで誰なのかわからないことが多い、なので「誰だろう?」という感じで訪問した際にも「足あと」がつくのはちょっと余計だ。(コミュニケーションしたくない人かもしれないので)
マイミクの場合でも「読んだらコメントするのが当然」と思っている人もいたりするので、それもつらい。なので読んだことを伝えるための「イイね!」は気楽でいいと思う。
私は違う意味で気にしすぎな例なのかもしれないが、足あと機能のおかげで余計な気苦労が増え、訪問するのを躊躇してしまうこともある。
なので、今回の改良はひとつの前進だと思っている。足あとによってコミュニケーションを「失速」されせることはあっても「加速」させることはほとんどないと思っていたからだ。
一部のユーザーの反応と考えるべきなのかもしれないが、今回の反対の声を見るとmixiの状況がよく感じ取れる。ユーザーは「狭い範囲での仲間内」だけで楽しむことが大前提で普段の投稿を行っている。それは「気心が知れた人以外には見られたくない」という状態であることを意味しており、とても神経質になっているのだ。
ある意味mixiは、自らが創り上げた文化にいま苦しんでいるのかもしれない。
「仲間内だけで楽しむのがmixiなんだからいい」という意見もあるが、その仲間内の距離感が非常に図りづらく、mixiでは「外の顔とは違う顔」で活動している人もいたりするので、そこそこの知り合いに「マイミク」申請して良いものか、悩ましいことが多い。
なので、mixiはもともとすごく仲の良い人がつながるのには良いが、「これから関係性を築きたい」「これからもっと交流してみたい」という人とはつながりくく、これがコミュニケーションの広がりを必要以上に狭めてしまう結果になる。
これがどんどんコミュニケーションを収縮させることになっており、最大限の広がりを見せるTwitterと一度つながった関係性をひろげる「Facebook」に、アクティブな人がどんどん移っている状況を生んでいるように思う。
これからはリアルと同じ活動をネットでも行うことが主流となっていくだろう。それはインターネット上の人の動きを変えていく。mixiもこの流れを見据えた改良を行っている。しかし、そこには現ユーザーの反発があるため非常に慎重でゆくっりだ。まさにジレンマに陥っている。
mixiはこのままでは収縮はあるものの、発展していくことが困難だ。非常に難しい舵取りを迫られている。
mixiプレスリリース
mixiコミュニティ「mixi 足あと機能改悪反対!」

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。