ソーシャルゲームから学ぶべき6つのポイント

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GREEの好調が連日取りざたされている。
8月下旬にリリースされたGREE向け探検ゲーム「探検ドリランド」は、App Storeのセールスランキングで1位を獲得し、「売上1年分は数百万本クラスのコンソールゲームに匹敵する」とGREEの土田氏はCEDEC 2011で語り、好調ぶりを示した。

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同イベントでGREEの岸田氏は「細かなゲームバランスよりも,課金機会の演出,効果の演出のほうが大事」と発言したことで、ネット上で物議をかもすなどして話題になっている。

[CEDEC 2011]稼げるゲームはこう作れ。グリーが明かす「セールスランキングNo.1プロダクトの作り方」

ソーシャルゲームは「ゲームじゃない」と突き放す意見もあるが、ここまで好調な理由はどこにあるのだろうか。
私自身はゲーム開発者でもなんでもなく、そこそこのプレイヤーでしかないが、ソーシャルゲームから学ぶべき6つのポイントを考えてみたので、メモ的にエントリーする。

1.1日にプレイできる量が限られている

大抵のソーシャルゲームは、1日にプレイできる量が限られている。「ドリランド」の場合、スタミナゲージがなくなればしばらく遊ぶことができなくなり、時間によるスタミナの回復をまたなくてはならない。すぐにゲームを続けたい場合は、有料のスタミナ回復アイテムを購入する必要がある。
つまり、無料でプレイする限りゲーム進行速度が抑制されることになり、1日中プレイして一気にゲームを進めるといったことができない。超えられない時間の壁が発生することになる。
これは「短時間しか遊べない物足りなさ」も生み出し、飽きにくくする効果もある。

2.お金で「優位」が変える世界

ソーシャルゲームが従来の家庭用ゲームと大きく異なる点として、他のプレイヤーと協力してプレイしたり、競いあったりする点があげられる。ここでは競争心をいかに煽るかがポイントだと思うが、怪盗ロワイヤルはこの点がかなり良く出来ており、豪華アイテムを得るために他のプレイヤーと競いあうイベントが随時開催されている。
ここでポイントなのは、お金で優位が変える点である。
例えば裕福な家の子どもに、この構造はたまらないのではないだろうか。お金さえだせば、他のプレイヤーを圧倒し、ゲームを優位に進めることができるし、頼られる存在にもなりうる。極めてシンプルだ。購入したアイテムが「永遠に使えず、買い続ける必要がある」のもポイントである。

3.作りこみすぎない「軌道修正のしやすさ」

ソーシャルゲームはシンプルなゲームがほとんどで、家庭用ゲーム機で提供されているようなものとは比べ物にならないほど、開発費も期間もかけられていない。
シナリオも後から追加していくスタイルがほとんどで、ユーザーの反応によって軌道修正をしていくことが一般的だ。
これは、グラフィックの豪華さを追求したがために、莫大な開発費と期間がかかり、軌道修正も困難な現在の家庭用ゲーム機とは相反する関係にある。
プレイステーション3やXBOX360向けのソフトは、新製品の場合8000円近い価格で昔のゲームに比べてかなり高い。高騰した開発費はユーザーに負担させている側面もあり、相当の満足度を求められる要因にもなる。

4.無料でコツコツプレイするユーザーが集客装置に

お金を一銭も出さないユーザーは売上に貢献していないかと言えばそうではない。
お金を出さないかわりに、度々ログインしてコツコツプレイして他のプレイヤーの相手になったり、特典をもらうために友人を招待したりして、集客やゲームの活況に貢献している。ゲーム提供者にとってすれば、「ただ働きしてくれている」という見方もできるのだ。

5.ゲームにテクニックがほとんど求められない

はっきりいって、ソーシャルゲームはゲームにほとんどテクニックは求められない。誰でも同じようにプレイすることができて、何も考えずに遊べるゲームがほとんどだ。
これはゲームが苦手なユーザーも取り込めるし、難しくて投げ出してしまうということもない。なのにあきずにプレイできるのは、育成要素がキーにあるのだろう。

6.半永久的に遊べるゲーム

ソーシャルゲームには、終わりがないものがほとんどだ。ユーザーは、続けようと思えばサービスが打ち切られない限り永遠に続けられるし、ゲーム提供者もイベントやルール変更などを加えることで、飽きさせないゲーム作りが行われている。
ユーザーは長く遊べることで、育てがいを持つことができるし、ゲーム提供者も1つの企画を長く走らせることが可能になる。以下はこの点に触れた記事だ。

何万回も遊べる要素が不可欠、「基本無料時代」に稼ぐゲームの作り方(GIGAZINE)

これからのゲームに求められる6つのポイント

ソーシャルゲームの特徴を見た上で今後のゲームに求められる6つのポイントを考えてみた

  • クオリティはそこそこで良くゲーム性が重要
  • 毎日少しずつ長く飽きずに遊べるゲームが理想
  • 段階的にリリースし軌道修正しやすいゲームを
  • 基本の難易度はそこそこに
  • 半永久的に遊べる仕組みを
  • 友人と競える要素を

最後に忘れてはならないのが、携帯電話やスマートフォンでゲームをすることの手軽さだ。これは家庭用ゲーム機には超えられない壁ともいえるが、いつでも持っている電話機がゲーム機に化けてしまった以上、これらとの時間の奪い合いは覚悟しなくてはならない。
これからは、家庭用ゲーム機とスマートフォンの連携など、これらを活かした戦略も必要になるだろう。

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。