「志す人 #002」 140文字で世界を変える!/藤沢実果さん

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このコーナーでは、「ソーシャルメディア」×「社会貢献活動」を実践されている方を取りあげていき、社会的意義のある活動や、ソーシャルメディアの可能性を皆様にお伝えすることを目的として連載にてお送りする。
第2回のゲストは藤沢実果さん。

藤沢さんは先日発表された、チェンジメーカーの育成を目的とした旅のプロジェクト「BADO!」の世界一周の旅に出る奨学生に見事に選ばれ、今年8月から世界に旅立つ。
BADO!とは何か。BADOのサイトからの抜粋を紹介させていただきたい。

BADO!プロジェクトの目的は、一言で示すと「チェンジメーカーの卵を育てる」ことです。
チェンジメーカーとは、人柄とアイデア、そして行動力で、世の中をより良い世界に変えることができる人です。社会起業家とも呼ばれている人もチェンジメーカーですが、私達は事業を起すいわゆる起業家だけがチェンジメーカーではないと思っています。

旅して「世界を変えたい!」という想いを持った人が応募し、ユーザー投票とスポンサーの審査により奨学生が選ばれるというものである。
私自身は残念ながら、ユーザー投票が締め切られた後にTwitterで彼女の存在を知ったのだが、BADO!の彼女の紹介ページにある企画書と動画を見て、「なんて熱い想いを持った人なんだろう!」とぐっと心をつかまれた。すでに投票ができないことが本当に悔やまれたぐらいである。
私が細かい説明をするよりも、まずは彼女が作成した企画書と動画を見てもらうのが一番だろう。


「140文字で世界を変える!」夢を叶える企画書(PDF)

この素晴らしい企画書を書いた彼女に、是非話しを聞いてみたいということで今回の取材が実現した。

深く記憶に残る1ヶ月間のトーゴでの経験

藤沢さんは大学生の頃に1ヶ月間滞在した西アフリカのトーゴでのことが深く心に刻まれているという。
企画書の中にも出てくるトーゴのエピソード。「トーゴでの出来事だけでも50ページぐらい盛り込みたかった」というほど、様々な印象的な出来事があったようだ。
トーゴでは、朝と夕方の1日2回ボランティアの活動を行っていたそうで、これはその時のエピソードである。
ある日の帰り道に、母と息子の2人で生活している家のお昼ごはんに誘われた。
藤沢さん達は家に帰ればランチがあるため、はじめは断ったが是非食べていってくれと誘って頂き、一緒にいた友人と2人でお昼にお邪魔することにした。
その時、その母親は自分は食べずに、息子と藤沢さん達に料理を振る舞った。その時に“自分のことよりも他の人に与えようとする気持ち“がすごく伝わってきた。
またその時、藤沢さんの友人が旅の最終地点であるトーゴでそれまで旅してきた車を売り、帰国資金にしたいと考えていたが、その車が売れずに困っていた。
お昼ごはんの中で、その話になった時に「私たちはお金がないから助けてあげることができない」と申し訳なさそうにいってくれたそう。
その時に藤沢さんは「私たちに求めるわけではなく、逆に与えようとしてくれている。お金がなくても、与えるということをあたりまえのことと考えているんだ」ということを実感した。
そういうことが毎日のように起こったという。

海外に日本人ボランティアを毎年700人派遣したNPOでの経験

彼女は大学卒業後にトーゴへ彼女をボランティアとして派遣した国際ボランティアNPO、NICEに就職した。
NICEでは楽しい3年間の時を過ごしたが、一方でNPOという環境には厳しい現実の側面、つまり「誰かが何かを我慢することで活動が成り立つ」という現実もあった。
Non Profitで収益はすべて社会に貢献する為の活動にあてられる。
藤沢さん自身も「飲みにいくことや服を買うことも極力抑えた生活だった。」という。
もともと会社員だった私の感覚だと、自分へのご褒美は許されず、普通の生活さえままならないという印象を持った。
またこんな話しもある。「結婚退職」という言葉は、NPOでは女性ではなく、男性に使われることがあるそうで、「お金がないから、男性は家庭を養う為には退職せざるを得ない」という現実もまだ日本のNPOにはあるという。
上記はほんの一部の話しに過ぎないが、私自身これらのお話を聞いて、自分の身を犠牲にしてまで社会に貢献しようとしている人たちが、客観的に見ても明らかに苦しい環境で日々生活をしているというのは本当に心苦しい限りであると感じた。

そんな時に「チェンジメーカー」に出会った

その頃、藤沢さんは「チェンジメーカー」を読み、従来のNPOでもない、でも企業でもない、社会企業のあり方に感動を覚えた。
社会企業に関して、Wkipediaからの引用でご紹介させて頂く。

社会起業家(しゃかいきぎょうか)は、社会変革(英: Social change)の担い手(チェンジメーカー)として、社会の課題を、事業により解決する人のことを言う。社会問題を認識し、社会変革を起こすために、ベンチャー企業を創造、組織化、経営するために、起業という手法を採るものを指す。社会起業家は事業成功による社会貢献を目的としている。(Wikipediaより

そして、彼女はこのNGOを退職し、自分にはないビジネスという分野のスキルを磨くべく、株式会社エニグモに入社した。
エニグモでは、ブログやYouTube、twitterなど、ソーシャルメディアを使った消費者コミュニケーションの法人営業を行った。
ここで彼女はソーシャルメディアの面白さを知り、「プロではない人」のひとつの行動が確実に「社会の価値」になることを実感したそうだ。
ただ、やはり社会貢献の為に働きたい彼女は、その経験を生かして次のステップへ進む道を選んだ。

そして会社を退職後にBADO!の事を知る

BADO!が奨学生を募集していることを友人から教えてもらった時「私がやらなきゃ誰がやる!」と感じてしまうほど、やるしかないと思ったそうだ。応募者への最初のお題は、動画と企画書だった。

48時間回し続けたビデオカメラ

動画は是非一緒にやって欲しいという話しをし、前職の2人が作ってくれた。
その頃2人は、毎日終電でも帰れないようなずっと忙しい状況だったにもかかわらず、作ってくれることを了承してくれた。
「プロだったら逆に撮れなかったんじゃないかっていう素の私が現れている自然なものになったので、見てくれた人に伝わったんだと思う。」なんとビデオは48時間回し続けたそうで、実は使いたかったシーンだけでも10倍のボリュームがあったそうだ。

Twitterで呼びかけに答えてくれた人が大きな助言をしてくれた企画書

企画書は自分でつくりはじめたが、最初はすごく行き詰まった。
伝えたいことが伝わらないし、そぎ落としたくない要素ばかりで本当に悩みながら、自分の中を掘り起こしながら作っていった。
そして、方向性が決まったある日Twitterで1枚の絵を描いてくれる人を探した。どんどんみんながRT(リツイート)してくれて、あっという間に企画書の絵を描いてくれた人が名乗り出てくれた。
その方は、絵を描いてくれることになっただけでなく、藤沢さんの企画にとても共感してくれて、企画書についてもアドバイスをしてくれたそうだ。
そんな風にして出来上がった企画書について、藤沢さんはこう言う。「自分ですごいすごい掘り下げなかったら、かけなかった。最終的にあそこまでになるのに掘り起こしはすごい大切だったと思う。」
少なくとも私は、この企画書に心をがっしりつかまれた。

社会貢献のあり方を深く考えるきっかけに

私自身、はずかしながら社会貢献ということに関して向き合いはじめたばかりである。
しかし、ここまでの考えを持った方でも厳しいと感じてしまう、NPOやNGOの現状を知り、「なんとかこの仕組みを変えることに自分も力を発揮することができないか」と深く考えさせられた。
「しっかりと利益を出しながら、社会に貢献することができる仕組み」これはこれからの日本にとっても極めて必要であると感じる。また、いまはソーシャルメディアによって可能性は大きく広がりを見せている。
私自身も「ソーシャルメディア×社会貢献」をテーマに今後の活動を考えていきたいとあらためて心に決めた。
旅立つ藤沢さんは「7年前叶わなかったことが今だったら可能な気がする。」そんな力強い言葉を残してくれた。
彼女ならきっと世界中の人の可能性を広げてくれると思う。実際に彼女から話しを聞いた私の率直な感想である。
また、彼女はこんなことも言っていた。「人も本も物も気にとまったものは出会うべき物だったと思う。このタイミングで出会ったのは間違いではない。」
客観的に見ても、NPOで働き、ソーシャルメディアを扱う企業で働き、BADO!の奨学生に選ばれた藤沢さんは、最初から決まっていたんじゃないだろうかと思うような、経験を積んできている。彼女自身がいままでの出会いを導いていたのかもしれない。
彼女からはとても前向きで、可能性に満ちあふれた未来を思い描いているエネルギーを感じた。私自身も、今後彼女の旅を出来る限りバックアップしていきたいと素直に思った。
最後に、私の方から取材をお願いしたにも関わらず、時間を変更したお詫びとして植物を頂いた。デスクワークが多いだろうということを気遣ってのものである。そんな気遣いがまた嬉しい。

スポンサーを募集しています

藤沢さんはいよいよ今年の8月から世界中の人の可能性を広げる旅へと旅立ちます。
そんな彼女は現在スポンサーになっていただける企業を探しています。
以下、企画書の抜粋です。

スポンサーつけて旅します。
(ちなみに、エニグモで毎月トップの営業成績。生かさない手はない!)
ビデオ(VADO):クリエイティブメディア様
他にこんなものもスポンサー集めます。
PC/ブログ/twitter/iPhone/ウェア/バックパック/靴/海外旅行保険/デジカメ/
アウトドアグッズ/寝袋/郵便/ノート/ペン/音楽/布ナプキン/無添加シャンプー/
/海外で自社の製品を製造している会社/海外にCSR活動先・支援先がある企業/など

藤沢さんに興味を持って頂いた方は是非コンタクトを取っていただければ幸いです。
藤沢さんのTwitterアカウント
http://twitter.com/mika_fujisawa
藤沢さんのブログ
http://ameblo.jp/chuntari-blog/
もしくは私までご連絡いただければ、伝言させていただきます
maxisize [at] gmail.com([at]の部分は@になります)
※私は必ず返信いたしますので、返信がない場合は再送をお願いします!

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。