以前、とある勉強会で百式やIDEA*IDEAなどの人気ブログを運営する田口さんが「アウトプットしないものはインプットじゃない」ということを言っていた。
いま思うと、この言葉は私が情報収集で陥ってしまった悪循環から救い出してくれたのかもしれない。
情報が溢れる現代において「どの情報を得るか」は非常に重要なことで、意図的に取捨選択しなくてはならない。では、選択する情報の基準をどのように設ければ良いのだろうか。
私が陥ってしまった過ちと、インプットすべき情報の基準について考えてみたい。
私が陥ってしまったインプット病
インプットすべき情報の基準の話をする前に、私が陥ってしまった「インプット病」というべき病の話をしたい。
私はブログの記事を書いたり、Twitterで有益な情報を流したりすることを習慣としており、その為に日々たくさんの情報に目を通している。スリム化を図る前は100程度のRSSに毎日目を通していた。
ところが、いつの間にか情報を得ることが目的になってしまって、何のために情報を得ているのかがおざなりになってしまう状況になっていることに気づいた。
とにかくRSSを消化することを目的としてしまい、重要な情報というよりは、わかりやすい情報を優先的に見るようになっていた。特徴としては以下のようなことだと思う。
- 読むべき記事をじっくり読まずに「あとで読む」に入れてあとで読まない
- チェックが雑になり、短くわかりやすい記事にしか目を通さない
- 常にチェックしようと思ってRSS購読したブログを読んでない
- どうでもいいネタに食いついてしまう
- 人に説明できるレベルで理解できてない
- 結局のところ頭に入ってない
この状況が続くと、情報の量の割に身になっている情報が少ないと感じるようになり、無意味であると感じるようになってしまう。あるいみ情報収集に燃え尽きてしまった状態だ。
そこで「アウトプットしないものはインプットじゃない」という言葉を思い出して、収集する情報を見直すことにした。
そもそも何のためにインプットするのか
インプットすべき情報に基準を設ける際には、そもそも何の為にインプットするのかを考えるべきだろう。ここで重要なのは「アウトプットするのか」を念頭におくことである。
私の場合は以下のような理由が挙げられる。
- ブログのネタにする
- 有益な情報をTwitterで共有する
- 仕事に必要な情報(アイデア)を得る(会議やプレゼンで利用する)
- TIPSネタを収集する(すぐに使わないけど、そのうち使えそうな情報)
このようにインプットする理由をリストアップしたときに、該当しないインプットは本来必要でないものということになる。つまり余興として楽しんでいる情報ということだ。
そこを意識してみると、いかに不要な情報をせっせと取得していたかを気づくかもしれない。私は購読しているRSSをすべて見直したが、アウトプットする機会がない(もしくは極めて少ない)ものの、購読をやめたところ、半分程度に減らすことができた。案外必要以上に情報を取得しているものである。
インプットの質を高めるために必要な4つのこと
情報を得るときに少しやっかいなのが「いつか使えそう」な情報だ。いまは必要ないが、いつか使いそうな情報はつい目を通してしまうもの。この手の情報はかなり広範囲にアンテナを張って情報を仕入れてしまうものだ。
しかし、これだけ誰でも入手できる情報が溢れている現代では、得る情報をある程度特化させないと、誰でも知っている情報ばかりもっているような状態になってしまう。
そこで、インプットの質を高めるべく以下のことを意識してみてはどうだろうか。
- アンテナを張る情報を明確にする
例えばFacebookのことに誰よりも詳しくなりたければ、Facebookを優先的に情報収集することを強く意識することだ。ここはできるだけ詳細にしたほうが効果が得られるだろう。自分がどの情報を特化して取得すべきなのかを明確にしよう。 - 熟考すべきテーマを明確にする
「FacebookやTwitterをどうビジネスに使うか?」「携帯コンテンツはこれからどのような展開が考えられるのか?」など、考えるべきテーマをあらかじめ明確にし、テーマに関する情報は積極的に取得しよう。そうすれば、私見をどんどん深めることができるだろう。 - アウトプットする機会をイメージする
情報に目を通す前に、アウトプットする機会があるかをイメージしてみよう。アウトプットする機会をイメージできれば、情報の重要なポイントもわかってくる。アウトプットがイメージできないのであれば、それほど重要な情報ではないはずだ。 - 得た情報を整理する
特にTIPSネタは、いざという時にすぐに出てこなければ意味が無い。私は収集した情報を分類するように心がけている。「統計データ」「デザインTIPS」「CSS TIPS」といった感じだ。
この整理する行為だけでも、十分アウトプットとしての意味合いを持ってくる。考えを整理することも必要になるだろう。人と話したり、文章にまとめたりすることで考えが整理されるだろう。
情報収集は「何のために行うのか」を明確にすることが重要で、より効果的な情報収集を行うためには、ある程度「情報をそぎ落とす」ことが必要になるだろう。そして、アウトプットできるレベルまでしっかりと情報をインプットして、はじめて本当の意味で情報を得たといえるのだろう。
情報収集に疲れてしまった人は、普段の収集方法を見直すと予想以上の効果を得られるかもしれない。
写真:Looking Glass on Flickr