これからのSNSに相応しいのはmixiかfacebookか、SNSは何の為に利用するのか

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9月10日にmixi meetup 2010が開催され、数々の発表が行われた。この発表は世界に5億人以上のユーザーを持つFacebookを強く意識したものであったといえるだろう。今回はこのmixi meetup 2010を振り返りながら、今後のソーシャルネットワークの動向について考えていきたい。

ここのところ「世界で5億人のユーザーを持つFacebook」と「日本で2100万人が利用しているmixi」、そのどちらがこれからの日本の代表的なSNSになるのがふさわしいかを考えていた人は多いのではないだろうか。
日本では圧倒的に普及しているmixiだが、facebookが2010年4月11日に発表した「オープングラフ」によって多くの人がFacebookに関心を持った。
このオープングラフというのはソーシャルネットワークで繋がっている友人や知人の嗜好があらゆるウェブサイトに広がっていくものである。代表的なものは「Like(いいね)ボタン」だ。オープングラフに関しては、以前記事にしているので、そちらを参照頂くのがいいと思う。
今回の発表で注目すべき点はやはりこのオープングラフというキーワードだ。

まずは発表を振り返る

mixi meetup 2010で行われた発表は、利用者にとってどのような変化が生まれたものだったのだろうか。

  • mixi新プラットフォーム「mixi Plugin」と「mixi Graph API」の発表
    ソーシャルグラフ(友人・知人とのつながり)や各種機能をWebサービスや情報端末等で利用できるmixiの新プラットフォームとなるもので、Facebookのオープングラフにあたるものだ。いまのところ「mixiチェック」が代表的。(mixiプレスリリース
  • 中国のRenren、韓国のCyworldとのプラットフォームの共通化の提携
    これは主にmixiアプリの開発者にとって重要な発表だ。日本向けに作ったアプリを中国や韓国に容易に展開できるようになるメリットがある。(mixiプレスリリース
  • スマートフォンのアプリ開発を可能に
    スマートフォン向けのmixiアプリの開発も可能になった。 これでAndroidやiPhoneユーザーへと対象範囲が広がる。(mixiプレスリリース

物足りない「ソーシャル化」

オープングラフに関係するものとしては、モバゲータウンも含むたくさんのサイトが「mixiチェック」を導入したが、なんだか物足りない。
というのは、mixiチェックを設置したウェブサイト上では、ボタン以外の情報が表示されないのだ。
Facebookのように、いま見ているページや商品を何人が「いいね」といっているとか、友人の誰々が「いいね」といっているとかそういった情報は一切無い。これではブックマークの共有化というレベルに過ぎないのではないだろうか。そのサイトでたくさん「いいね」と言われているのは何なのか、そういった情報も見る事ができないようだ。
これでは、mixiチェックで友人がチェックしたものはmixiに訪れない限り認知することができない、これでは不完全なソーシャル化に見える。

SNSで本来重要なのはコミュニケーションのきっかけ作り

mixiやFacebookにはいろいろな要素が存在しているが、そもそもこれらのSNSにユーザーは何を求めているのだろうか。単なる暇つぶしという理由もあるだろうが、本質的なものはなんであろうかということを考えてみたい。
私自身の考えをいえば、第一にmixiやFacebookに期待することは、知り合いになった方との関係性の継続や交流を深めることができるサービスであることだ。
つまり、これらのサービスを利用する理由はmixiやFacebookでつながった人と何らかの形で交流し、まったく疎遠になってしまうことを回避したいという理由があるように思う。
なので、自分自身の近況報告をしたり、最近の興味関心を伝えること、そして友人のそれらの情報を知ることがもっとも重要で大切な部分であると考えている。
そういった意味ではこれらの役割を担うものとしてTwitterもその1つに加わる。
ここでポイントになるのが、いかに自然なコミュニケーションを生んでくれるかどうかである。
ソーシャルゲームなどの機能はコミュニケーションのきっかけ作りという点で重要な意味合いを持つのだと思う。

オープンなTwitter、半オープンなFacebook、クローズドなmixi

私自身の各サービスの利用状況は以下のような感じだ。

  • Twitter:毎日利用。Twitterを通して多くの人と交流している。新しい出会いも多く、Twitterで知り合った方と実際にお会いすることも多い。情報を取得する経路にもなっている。
  • Facebook;1週間で3、4回ログイン。積極的に利用できていないが、最近実際にお会いした方を登録している。
  • mixi:友人の日記の更新通知メールをきっかけに月2回ほどログイン。Twitterをはじめてから、マイミクはほとんど増えてない。

私にとってTwitterは毎日接するものとなっており、最もコミュニケーションを生んでいるサービスになっている。
そのTwitterをはじめてからmixiへのログイン回数はあきらかに減少した。なぜ私はTwitterを多く利用するようになったのか。それを考えた場合、Twitterにあって、mixiになかったもの、それはオープン性であった。
Twitterには人と人とのつながりがどんどん広がっていく魅力がある。Twitterの場合、発言したことはフォロワーだけにとどまらず、RTなどでさらに広がっていく可能性があるからだ。mixiにはすでにつながった仲間内だけに発信するものという意識が強かった。
facebookはTwitterとmixiの中間といった印象がある。

クローズドにしたいソーシャルネットワークというケース

TwitterやFacebookは基本的に自分の交流関係はオープンなスタンスが多い、いまの私にとってはこちらの方がしっくりとくる。
しかし、近しい関係性ながらも自分のソーシャルネットワークを公開したくないというケースもある。例えば、会社の上司や同僚、取引先などだ。
なぜ公開したくないのかと言えば、それは親しい人にしか知られたくない趣味、嗜好や会社のグチなんかをログとして残していることなどが要因になるだろう。
見られたくもない人にも見られてしまうというのがオープンにすることへのデメリットだろう。

それでもオープンにしたほうが良いのではないか

私は自分の趣味嗜好はオープンにしてしまった方が良いと思う。
その方が、友人や知人との交流関係のきっかけをより多く作る事ができるからだ。つまりこの辺りの考え方はSNSに何を求めるかによって変わってくる。
誰にも知られたくない趣味嗜好もあるだろうが、そうであればログに残す必要はないのではないか。どうしても誰かに言いたいのであれば友人と実際に会った時に話せば良いわけで、ログに残す必要はない。
というか、そういうことは匿名でやればいいと思うので、第2アカウントでやればいい。
本流はオープンが望ましいと思う。その方がお互いの情報を新鮮に保てる。

完全にパブリックなのはTwitter、知人に向けた交流はmixiかfacebook

Twitterとはどう使い分けるかだが、Twitterは完全にパブリックなものにして、mixiやFacebookへの発信は友人や知人へ向けたオープンな発信という使い分けがいいだろう。
ソーシャルグラフの力を活用するには、友人として登録する人は限定した方が良い。Twitterのようにちょっと気になる人ってだけでフォローしてしまうとソーシャルグラフの力を発揮できなくなるからだ。

匿名で育ったmixiと実名で育とうとするfacebookのどちらが相応しいか

今後日本のユーザーがFacebookを使うのかmixiを使うのかを考えるうえで機能面にフォーカスがあたることが多いが、ユーザー層やユーザーの状況こそが重要ではないかと思っている。
私が重要なポイントであると思う点について簡単に表にまとめた。

※ Facebookユーザー数参考:Advertise on Facebookの日本のユーザーへのリーチ数を参考
※ Facebook日本のユーザー数の参考:ネットレイティングス株式会社
※ mixi登録ユーザー数参考:2010年8月4日発表のIR資料(PDF)
facebookは実名や実際の自分の写真を使っている事が多い。逆にmixiは匿名でアイコンも本人の写真ではないため、マイミク申請で名乗ってもらわない限り友人や知人を見つけることは難しい。「あなたの友人かも?」といわれても誰だかわからない人ばかりだったりする。
そういった意味では、Facebookは知人とつながりやすい状況になっている。mixiはだいたいの人が使ってると思われるけど、見つけにくいという問題が潜んでいる。
それから、mixiは匿名で利用してきたユーザーが多いためオープンにしたくないログを残している人も多い。なので、マイミク登録を申請してよい関係性というのがどの程度のものなのかがつかみづらい。というか人によって違っている。
つまりmixiはよっぽど気心が知れた人でない限りマイミクになりづらい。そのような状況はオープンな友人や知人との交流をしていくためにはとてもネックになってしまう。

最後に

日本ではFacebookの「Likeボタン」を導入しているサイトはまだまだ少ない。一方で「mixiチェック」は大手サイトがこぞって導入したという状況だ。
このような点において、mixiにはアドバンテージがある。
それでも上記に述べたように、未来を見た時にfacebookの方が魅力的に見える部分がある。イケダハヤトさん(@IHayato)が面白い記事を書いていた。
mixiの新機能はソーシャルグラフをリフレッシュするか
Facebookは日本ではこれから普及するものであるため、ユーザーがどう利用するのがいいかを検討した上で利用することができる。逆にmixiはいまさら使い方を変えずらいのがネックになる。
mixiが積み重ねたもの。どれを捨ててどれを拾うか。mixiがまだまだ難しい決断に迫られているのは確かである。
皆さんはSNSに何を求めるのだろうか。
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蛇足だが、とても余計な機能と思っているのが足跡機能だ。
この人知ってる人かなぁ・・・?と思っても訪問してしまうと足跡が残ってしまうため、なんとなく躊躇してしまう。知り合いだった場合、訪問したからにはマイミク申請しないとなんだが気まずかったりする。
さらには日記を見たからにはコメントをするのがマナーという人もいるから大変。
とにかくこれは余計な情報だ。いまではご丁寧に足跡を月10件まで消せるようになっている。なぜそこまでして残すんだろう・・・。
GREEとモバゲーを取り上げていないのは軸がソーシャルゲームだからということを付け加えておく。

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。