食べログのiPhoneアプリが突然の有料化によってアプリのレビューが大荒れになるという自体に発展し、話題になっている。
詳しい事は以下の記事を確認いただくのが良いと思うが、簡単に説明すると9月10日にリリースされたiPhoneアプリには多くの機能が追加され、月額315円の「プレミアム会員」サービスも開始されたわけだが、この有料サービスにはいままで無料で利用できていた、検索結果表示時のソート機能なども含まれていたため、改悪とバージョン3.0のレビューには1500件もの最低ランク★1の評価が寄せられ、炎上したという話。
・iPhoneアプリ版「食べログ」、突然の課金サービスにユーザーから非難の声(Cnet)
・iPhoneアプリ有料化で批判殺到|食べログは何をミスったのか(ホームページを作る人のネタ帳)
・食べログの件は一体何がマズかったのか(もとまか日記)
しかし、この問題は極めてシンプルなのではないかと思っている。
食べログの主役は飲食店ではなく利用者
先日「食べログ」の訪問者数が「ぐるナビ」を抜いたという記事が話題になったように、食べログは勢いよく支持を集めている状況だ。
この両者の違いといえば、飲食店側が発信する「ぐるナビ」と利用者が発信する「食べログ」という特徴があげられる。
「食べログ」は「信頼できるレストラン選び」というコンセプトを掲げており、利用者の信頼性を売りにしている。「食べログ」のコンテンツの内容は驚くほどユーザーの手によってゆだねられている。
店舗や料理の写真はもちろん、メニューの写真までユーザーが撮影したものが掲載されているのだ。
それによって、利用者は店舗が用意したきれいな写真ではなく、ユーザーが撮影したリアルな写真を見る事ができる。
まさにコンテンツはユーザーが作り上げているサービスだ。
レビューが荒れた理由
これはなにより、無料で提供すべきサービスを有料にしたということに尽きるのではないだろうか。
今回多くの反感を集めた変更は、検索結果画面での2つのソート機能「人気順」「点数順」が有料サービスの対象になった点である。
「食べログ」にユーザーは良いレストランを探しに来ているわけで、あってあたり前と言えるこれらの機能が有料化になるのは、有料会員にならないとiPhoneではサービスを利用できないと言っているに等しい。無料では普通に使えない変更が加えられたのだ。
iPhoneユーザーにはいま4択が用意されている。
・有料会員になる
・iPhoneでの利用をやめ、ウェブだけで利用する
・使い勝手が悪くてもiPhoneで利用する
・利用するのを止める
「いやいや、十分無料でも使えるよ」という人はいるかもしれないが、私はこれではiPhoneアプリを立ち上げる人は極端に減る事になるだろうと思う。
「食べログ」はユーザーのレビューによって成り立っており、利用者が多くなればなるほど信頼が増すサービスである。
もっとも大切にするべきなのは、「レビューを良く書いてくれる人」であるのは間違いないのだが、そもそも閲覧する人が増えなければレビューをしてくれる人も増えない。そういう意味では利用者がまずありきである。
最低限の使い勝手は無料で提供するべき
やはり利用者が普通に利用できるレベルのサービスは無料で提供するべきだろう。
そうではないと、ユーザーに浸透してきた食べログを利用する習慣が失われてしまうことになる。
食べログの運営責任者である村上氏が2007年にこんなことを言っている。
『「食べログ.com」は、“グルメについて何でも書いてください”というサイトではなく、“日本中のレストランをランキング化して探しやすくするために点数を付けてください”という目的を持ってサービスを提供しているサイトなので、これから口コミが集まれば集まるほど、サイトの信頼度や利便性も更に増していくと考えています。』
食べログは利用者が増えれば増えるほど利用されるサービスである。その他の方法で収益手段を考えなければ、この勢いが損なわれることになるのではないだろうか。