6月6日(現地時間)、WWDC 2011の基調講演で、予告通り「OS X Lion」「iOS 5」「iCloud」の3つが発表された。
やはり、この日一番の盛り上がりを見せたのは「iCloud」の発表だ。「mobile.me」がiCloudに統合され、しかも無料になるということで、会場は大盛り上がりだった。ジョブズ自身がプレゼンしたのも「iCloud」のパートのみだった。
OSX Lionは7月の提供で、iOS5とiCloudは秋に提供される。これは次期iPhoneが秋にリリースされると見て間違いなさそうだ。
個人的には「iOS5」の進化はかなり好感触だ。改善すべき点を的確に改善してきた印象を持った。
それでは、発表された内容を順番に紹介していこう。
OS X Lion
OS X Lionに関しては、すでに発表された内容の復習で特に目新しい発表はなかった。新機能についてはすでにAppleのサイトで詳細が公開されている。
1つ特筆すべきなのは、CDやDVDでの販売は行わず、Mac App Storeのみで販売する形をとるということだ。価格は2600円(29.99ドル)で7月に発売される。(開発者には本日より提供)
1つ購入すれば、持っているすべてのMacにインストールが可能になる。
アップグレードするには下記を搭載したMacが必要になる。
- Intel Core 2 Duo、Core i3、Core i5、Core i7、またはXeonプロセッサ
- OS X Snow Leopardの最新バージョン
以下は公式のLion紹介動画。
iOS5
iOS5はAndroidにあってiOS4になかった機能を補った印象のアップデートとなった。
大きな変更点としては、アクティベートやOSアップデートをiPhoneやiPad単体で可能にし、脱PCを宣言したことだ。新機能として「Reminder」や「iMessage」が登場し、プッシュ通知も刷新された。
開発者向けには本日公開され、一般には秋に公開される。
3GS, iPhone 4, iPad 1/2, and iPod Touch (3rd gen or later)でインストール可能だ。
1.プッシュ通知を一括して確認ができる「Notification Center」を追加
いままでプッシュ通知が複数ある場合は、連続して通知が飛んでくる形となっていたが、新たに一覧で確認できる「Notification Center」機能を追加した。Androidの通知機能とかなり似ている。それぞれのアプリの項目を選択することでダイレクトにアプリに遷移する。
ゲーム中にプッシュ通知が飛んできた場合も、ゲームを止められることなく上部に表示される。
ロックスクリーンにも通知が表示され、この画面からそれぞれのアプリにダイレクトに遷移できる。
2.Newsstand
定期購読した雑誌や新聞を管理するアプリ。最新号がバックグラウンドで自動的にダウンロードされる。
3.Twitterの連携機能
写真やYouTube、地図などから直接Twitterにツイートができるようになる。
そして、Twitter認証は一括してiOS側で行うことになり、すべてのアプリはこれを利用する形になる。
4.タブブラウザ、あとで読む機能などで進化した「Safari」
Safariも大幅に進化する。見ている記事をワンタッチで広告なしの表示にする機能や、端末間で同期可能な「あとで読む」機能の追加。さらにiPadに関してはタブ機能が追加される。
5.位置情報と連携する「Reminders」
簡単にいえばTodoリストだが、すごいのは位置情報と連携するところだ。例えば、自宅到着時にリマインダーを表示するように指定ができる。逆に出発時にリマインダーを表示することも可能だ。「オフィスに着いたら◯◯さんに電話」という指定が可能で、かなり使えそうな機能だ。
6.何気に嬉しい進化満載の「カメラ」
カメラはなかなか嬉しい改良が加えれれている。まず、ロックスクリーンにカメラボタンが追加され、すぐにカメラアプリを立ち上げることができるようになった。
撮影時には、ハードウェアのボリュームアップボタンをシャッターとして使えるようになり、片手でも撮影がしやすくなる。他には、ズームがピンチアウトで可能になり、グリッドラインが使えるようになる。絞りや露出のロックも可能。トリミングや赤目軽減などの編集機能もつくようだ。
7.メールも進化!
全文検索が可能になりメールにフラグが付けられるようになる。そして、リッチテキストフォーマットに対応し、太字や斜体が使用可能だ。インデントの範囲を選択したり、アドレスのドラッグ&ドロップも可能。
iPadではキーボードの表示を変更可能で、親指だけでの入力がしやすくなる。
8.PCがなくてもOSアップデートが可能に
アクティベートがiPhone、iPad単体で可能になり、OSアップデートも単体で可能になった。
9.Game Center
Game Centerも強化さている。直接ゲームの入手が可能になり、フレンド機能が強化され、おすすめのゲームなどが確認できる。
10.iMessage
iOS5ユーザー同士のメッセージサービスだ。テキスト、写真、ビデオ、グループメッセージが可能になる。3G、Wi-Fiで動作する。
11.WiFiを通してiTunesと同期する「WiFi Sync to iTunes」
WiFiを通して、PCやMacのiTunesと同期することが可能になる。
この日披露されなかったようだが、iPad2はAppleTVを通してワイヤレスでテレビと画面を同期することができる。これは何気に嬉しい機能だ。
以下はiOS5の公式紹介動画。
そして最後に「iCloud」の発表
この日は最後に「iCloud」が発表された。
「コンピューターがハブになるのではなく、クラウドがハブになる」として、あらゆるデータの同期をクラウドを通して可能にするサービスが「iCloud」だ。そして音楽のストリーミング配信のサービスではなかった。
開発者向けには本日から提供され、一般には秋に公開される。
「iCloud」には、まずmobile.meのサービスが統合された。年間99ドルで提供されていたサービスが無料で利用できるようになる。
アドレス帳、カレンダー、メールの同期がiCloudで可能になるのだ。既読のメールを同期したり、家族とカレンダーを同期することも可能だ。
iOSのバックアップが可能
バックアップもiCloudを利用して行う。基本的に1日1回行われ、下記の項目が自動的にバックアップされる。
- 購入した楽曲、本
- 撮影した写真、ビデオ
- デバイスの設定
- Appデータ
Documents in the Cloud
KeynoteやPagesで編集したドキュメントは自動的にiCloudで同期される。
例えば、iPadで編集した続きを、ファイルの移動を行わずともPCで行うことが可能になる。
そして、iCoud Storage APIsを開発者に提供する。APIを利用してアプリをiCloudに対応させることで、どのアプリでもiCloudで自動同期が可能になる。
Photo Stream
iPhoneなどで撮影した写真はiCloudを通して、PCを含む各デバイスに自動同期される。
デジカメで撮った写真をPCなどに同期した場合も、Photo Streamにアップされる。
Photo StreamをApple TVで閲覧することも可能だ。
iOSとiCloudには直近1000枚の写真を30日間保存される。MacやPCにはすべての写真が保存される。
iTunes in the Cloud
iTunes Storeで購入済みの楽曲の購入リストから、各デバイスに再ダウンロードが可能で、購入した楽曲は自動で全デバイスに同期される。(設定でオンオフが可能)
デバイスは10台まで紐付けられる。
iCloudは5GBの無料スペースが利用可能で、iTunesで購入した楽曲や書籍、アプリ、Photostreamはこの容量に含めない。ストレージ容量は有料で追加できるようだ。(詳細はサービス開始時に発表)
One more thing.
そして「One more thing.」として飛びだしたのは、「iTunes Match」だ。
iTunes MatchはiTunes Storeで買っていないCDからリッピングした楽曲などを照合し、iTunes Storeに同曲が存在する場合に、iCloudで再ダウンロードを可能にするサービスだ。年額24.99ドルのオプションサービスで、残念ながら当初は米国限定で提供される。
すべて256kbps AACのDRMフリー版に変換されるのが特徴だ。
以上がこの日の発表のまとめとなる。キーノートの動画は以下アドレスで視聴できる。
http://events.apple.com.edgesuite.net/11piubpwiqubf06/event/