スティーブ・ジョブズがこの世界にもたらした一番の功績

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スティーブ・ジョブズが米国時間8月24日、CEOを退任することを発表した。幾度かの復活を果たしたジョブズも、今度ばかりは病状からみて復帰するのは難しそうだと誰もが感じているのではないだろうか。
アップルの時価総額は8月9日に米エネルギー最大手エクソンモービルを抜き、初めて米企業で首位に立った。まさに最高潮に達していたAppleへの信頼も、ジョブズ退任の知らせをうけこの日のマーケットは素直に反応した。株価は7.39%下落し、時価総額は約1兆8400億円減少したのだ。
これほどまでの信頼を集めるスティーブ・ジョブズが、この世界にもたらした一番の功績は一体なんだろうか。

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様々なことが言えるし、人によってまっさきに思い浮かべることは異なると思うが、私が一番の功績であると強調したいのは「複雑さが増す世界にシンプルさをもたらしたこと」だ。
いや、むしろ「一貫してシンプルを追求し続けたこと」というべきなのかもしれない。
Appleにおける「シンプルへの追求」はデザインだけでなく、ユーザーインターフェース、搭載された機能などあらゆるものに根付いている。まさに思想そのものだ。
そして、Appleの製品は技術が発達し製品が複雑になればなるほど輝きを放ったように見える。それは異彩の輝きとも思えるもので、iPhoneにいたっては「世界中の目を覚ました」と言えるのではないだろうか。
「シンプルへの追求」が「Mac」「iPod」「iPhone」「iPad」という製品を生み出したのだ。


いまは選択肢が沢山ある時代だ。その中で「何を選ぶか」が非常に重要である。なんでも詰め込めばいいわけでないことは、多くの人が実感しているはずだ。
製品やサービスを考えるうえで、「シンプルへの追求」は問い続けたい課題であり、スティーブ・ジョブズからの教訓なのではないだろうか。

「シンプルへの追求」をするために欠かせない3つの問い

スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション」の「1000ものことにノーと言う」の章は、まさにこの点を学ぶことができる。
この章を読むことで見えてくる「シンプルへの追求」をするために欠かせない3つの問いがある。

  1. その製品はどこにピントをあわせるべきか
  2. 本当にそのアイデアは優れているのか
  3. やらない方がよいことはないか

ピントをあわせるというのは、その製品やサービスが「利用者に何をもたらすのか」を考えることで、答えを見つけることができるだろう。ライフスタイルをも変えてしまったiPodやiPhoneからは、「利用者の生活がどう変わるか」という問いも見えてくる。もし、何をもたらすのかも思い浮かばないものは、そもそも成立していないと考えるべきだ。
ピントを合わせるべきものがわかれば、あとはひたすら合わせていけばいい。
ティム・クックは、大切なポイントにピントを合わせて絞り込んでゆくスティーブ・ジョブズの能力を評価し、このように語ったようだ。
「適切な製品にイエスと言うだけでなく、優れてはいるけれどほかほどではないアイデアにノーという必要があるのです」
サービスを検討する際に、優れたアイデアは溢れている。「追加したほうが良い」と思われるものは、思いのほかたくさん浮かぶものだ。
ただ、その機能を追加することによって、機能が複雑になったり、パフォーマンスが低下してしまったり、予算にあわなくなってしまったりしては元も子もない。最悪なのはピントがずれてしまうことだ。元AppleCEOのジョン・スカリーはこのように述べた。
「スティーブが違うのは、何をするかではなく、何をしないかこそが一番重要だと信じている点だ」
「追加すべき機能はないか?」という問いはあっても、「追加すべきでない機能はないか?」という問いはあまり行われないのではないだろうか。
星の王子さまの原作者サン・テグジュペリはこのような言葉を残している。
「完璧がついに達成されるのは、何も加えるものがなくなった時ではなく、何も削るものがなくなった時である」
もしいま考えている製品やサービスのアイデアを一言で説明できないほど複雑になっているとしたら、削れるものはないか徹底的に考えてみると良いかもしれない。
そうすれば「ピント」があってきて、一言で説明できるようになるのではないだろうか。
シンプルであることは、ごまかしが効かない恐怖があるかもしれないが、ベンチャー・キャピタリストであり、Appleの出資に関わったマイケル・モリッツはこのように語っている。
「個性的なだけのものなら簡単に作れますからね。シンプルを追求して追求した結果、個性が生まれるのです」
究極までシンプルを追求すれば、それが個性となるのだ。
スティーブ・ジョブズが不在でも、この考えはApple社員に根づいているようだ。まだまだこの時代に必要とされる製品を生み出してくれるだろう。
最後にスティーブ・ジョブズの思想に触れることができる最高のプレゼンを紹介しよう。iPhoneを発表したときのものだが、何度見ても最高だ。(字幕はないが、より長く高画質なバージョン

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。