「セルフブランディング」という言葉は悪い印象を持たれていることが多い。理由としては、セルフブランディングが「実力以上に自分を飾る方法」として捉えられていることにあると思う。はっきり言って、私もこの言葉はあまり使いたくないと感じる。
しかし、私自身は「セルフブランディング」の必要性を感じているし、「実力以上に自分を飾る方法」と捉えるべきではないと考えている。今回はその理由について説明したいと思う。
実は「パーソナルブランディング」という表現の方が正しいと考えているが、日本では一般的ではないので、あえて「セルフブランディング」と表現している。
まずは私がセルフブランディングの必要性を感じたきっかけから紹介したいと思う。
それは私が2年ほど前に独立する直前の話だ。最初は転職を考えていたのだが、自分の経歴を評価するうえで、客観的にみてあまり魅力的ではないという風に感じてしまったのだ。自分の強みを意識し、必要な実績を積むように意識して毎日を過ごしていたつもりが、実は所属していた会社内だけの枠に囚われていた自分に気づいた。
一般的なニーズがあまり意識できておらず、会社を出てみると自分の強みがたいした物でないように思えた。さらに、会社の冠をとってしまうと自分が何者であるかを十分に説明できないことも気づいた。自分の評価は会社の評価に比例するようなありさまであるとも思えたのだ。一体自分が築いてきたキャリアとは何なんだろうか?そして、市場に受け入られる自分の強みは何なのだろうか?私はそこでとても危機感を覚え、自分がやるべきだと思うことを実行しやすい環境に置くために独立することにした。
セルフブランディングとは何なのか
セルフブランディングという言葉には2つの側面があると思う。1つは「自分の実力を表現すること」、もう1つは「強みを明確にすること」だ。これはセルフブランディングを正しく定義したいという話ではなく、あくまで私の捉え方である。
「自分の実力を表現する」というのは、決して自分を実力以上に飾ることではない。「天才マーケター」とかうさんくさいラベリングを自らすることを推奨するものでもない。
自分が持っているスキルや知識、そして自分がどのような思考でものごとに取り組んでいるかを、ありのままに明らかにすることだ。
自分が持っている知識というのは黙っていても伝わるというものではない。そして、知ってもらえているのと、知ってもらえてないのでは大違いである。私自身は、TECH SE7ENを通じて自分が持っている知識や考え方を表明することで、自分を知ってもらう努力をしている。
実際に、このブログをはじめる前と後ではかなり環境が変わった。相手が自分を理解してくれていると思う機会も増えた。
「強みを明確にする」というのは、自分がどのような強みを持っているか、どんなことに注力しているかを明確にすることだ。これは自分が磨くべき部分を明確にするという行為でもある。
「ウェブ制作ができます」というだけでは、どんなに実力があっても相手には伝わりにくいし、競合との差別化が全く図れない。例えば、金融の知識を持っている人ならば、「金融系サイトが得意」という強みを明確にし、そこを訴求していくということだ。
これによって、金融系サイトの仕事が増え、さらにスキルに磨きがかかるという好循環が生まれるし、得るべき知識も明確になるというメリットがある。
黙っていても評価されるは理想論
もちろん、何もしないで評価してもらうことに越したことがないが、ほとんどの人は実力をあまり理解されていなかったり、過小評価されていたりするのではないだろうか。華麗な実績があれば良いが、そう恵まれていないことがほとんどだ。
自分の実力をより高い精度で理解してもらう、そのような努力は適切に評価してもらうためには必要なことである。
一応念を押しておくが、これはフリーになってセルフブランディングをしましょう!という話ではない。フリーだろうが会社員だろうが関係なく必要なことだと考えている。
これらは相手と自分とのコンテキストを共有するという行為でもある、単純に自分の考えをより知ってもらって、お互いに最良な選択をする努力をするという話でもあるのだ。
セルフブランディングという言葉を単純に避けるのではなく、必要な部分は受け入れてもよいのではないだろうか。
下記の本は私が2年前に読んだ本。
パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す
東洋経済新報社 著者:ピーター・モントヤ,ティム・ヴァンディー 評価:★★★★★
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Photo by Jack Zalium on Flickr