ソニーがパンドラの箱をついに開けた。HDDレコーダーtorneの完成形「nasne」を投入

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ソニーが、HDDレコーダー「torne(トルネ)」の最大の不満を取り除く「nasne(ナスネ)」を7月19日に発売することを発表した。
価格は1万6980円。極めて低価格で地上波・BS・CSの3波の十分な録画環境を構築することが可能となる。これを発売することはソニーが自らパンドラの箱を開けてしまったかもしれないというほど、大きな決断だったのではないだろうか。

nasne

「nasne」は基本的に「torne」の上位モデルと考えれば良いだろう。基本的な仕組みはtorneと同様で、利用するにはPlasyStation3が必要になる。
パンドラの箱を開けてしまったというのは、極めて低価格でブルーレイ/HDDレコーダーの環境を構築できる製品を投入したという点にある。「PlayStation3 2,4980円」+「nasne 1万6980円」= 4万1960円で、ブルーレイが再生できてかつ3波が録画できるレコーダー環境が構築できてしまうのだ。これはブルーレイ/HDDレコーダーの価格破壊とも言えるものだ。

「torne」の不満をことごとく払拭した「nasne」

いままでtorneでは、「地上波のみ対応」「録画は1番組のみ(同時録画不能)」「録画した番組が書き出せない」「別室での視聴不可」「外出先からの録画予約不能」など、大きな欠点が複数あった。
しかし、nasneでは「地上波・BS・CSの3派対応」「torneと組み合わせたり、複数のnasneで最大同時5番組録画が可能」「別室のPS3やVaioなどで視聴可能)」「DTCP-IPムーブ機能でBDレコーダーやVAIOなどの対応端末に書き出し可能」「CHAN-TORUでスマホから録画予約可能」など、様々な欠点をことごとく克服している。(→ torneとの比較表
torneの欠点は、同社のブルーレイ/HDDレコーダーの優位性を保つためのものだったようにも思えるが、それをことごとく取り払ったため、nasneは同社製品とも正面から競合する形となる。

「torne」はすでに我が家の中心

我が家ではtorneを長いこと愛用しているが、SONYのブルーレイ/HDDレコーダーを別途持っていながらも、torneをメインで使用し続けている。
最もtorneが優れている点はその「操作性」にある。torneのユーザーインターフェースの素晴らしさと処理速度の速さによる快適さ、そしてPS3のコントローラーによる操作感。これらの良さは特に番組表をチェックするときに発揮される。
割と新しいテレビとブルーレイレコーダーを使っているが、ソニー製品でもいまだにtorneの操作感には劣る。
ちなみにウチの家電はこんな感じだ。

  • SONYの液晶テレビ×2台(リビング+書斎)
  • SONYのブルーレイ/HDDレコーダー、PanasonicのHDDレコーダー(スカパー用)
  • PS3+torne×2台(リビング+書斎)

気がづけば、ソニーで固められているわけだが、この状況はtorneが生み出したといっても過言ではない。我が家では、リビングと書斎にテレビを置いているが、書斎にはテレビとPS3+torneのみを置いており、基本的に書斎のPS3からリビングのソニーのブルーレイHDDにアクセスしている。
ソニーのブルーレイ/HDDは対応機種であれば、torneからでも録画予約や視聴するためのアクセス可能なので、操作する際にはtorneを使用している。
やはりリビングに1つメイン機を置いて、別室からはそれにアクセスする形が理想的だ。
いままで別室からPS3+torneで録画したデータにアクセスすることはできなかったので、ソニーのブルーレイ/HDD機を録画用端末としてわざわざ購入し、別室からアクセスできるようにした。しかし、nasneではこれが1台で可能になるため、かなり楽にこの環境を実現できるようになった。

「nasne」投入はソニーの重要な戦略

ソニーのブルーレイ/HDDレコーダーが、nasneに対して持つ優位性は、おそらく「極めてハイレベルな画質の差」と「起動の速さ」ぐらいになるのではないかと思われるが、ソニーはなぜこのような自社製品と競合する低価格な製品を発売するのだろうか。
やはりHDDレコーダーの「家庭のエンタメ端末をつなぐハブとしての役割」としての重要性を意識してのものだろう。スマホやタブレットやゲーム機など、エンタメ端末としての入り口が増える一方で、それぞれの端末から同じデータにアクセスできることは、これからどんどん求められることになっていくだろう。ソニーが展開する「Xperia」「SONY Tablet」「Vaio」「PS Vita」「テレビ」「ブルーレイ/HDDレコーダー」など、あらゆる端末のハブとして「nasne」の役割は大きい。ソニーがエンタメ機器の中心としての役割を何としても手に入れようという決意が伝わってくる。
今後「nasne」がどのようなポジションを獲得していくかは、非常に見ものである。
余談だが、1つだけ残念なのは、ネーミングが非常にわかりにくい点であることだろう。torneはなかなか逸品だと思っていたが。

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Author
Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。