ドコモの山田社長はITmediaの取材に対し、「Facebook対抗のサービスを作っていきたい」と発言したようだ。8月5日に掲載された記事「ドコモは携帯電話会社を卒業する――NTTドコモ 山田社長に聞く」では、ドコモの今後の方向性がいろいろと示されており、興味深い内容となっているので紹介したい。
この記事の中で意外だったのは、この記事のタイトルにもした、「Facebook対抗のサービスを作っていきたい」という考えを示したことだ。
ドコモ山田社長「詳しくはまだ申し上げられる段階にありませんが、今後、重要なのは“スマートフォンをどのようにソーシャル化していくか”だと考えています。最近ではFacebookなどが台頭してきていますし、ここでの取り組みはとても重要になります。」
「(Facebookは)我々と競合するのですよ。下手したら、Facebookにみんな持っていかれてしまう可能性もあります。彼らにはソーシャルグラフだけでなく、コミュニケーションのレイヤーも持っていかれる恐れがある。だから、(ドコモは)Facebookに対抗できるサービスを作っておかないといけないのです。」
「基本的には(Facebook対抗のサービスを)作っていきたいと考えています。我々ドコモは、Facebookができている技術的なところは全部できてしまうわけです。スマートフォン内にあるユーザーの個人情報をSNS化していく新たなサービスを多く企画・開発しています。これらを2011年の冬モデルから順次提供していきたい。」
ドコモは、現在4000万台が利用しているプラットフォームである「iモード」を今後はスマートフォン向けに発展させていたきたいと考えているようだ。その方向性がFacebookの競合にあたるということだ。
ドコモ山田社長「フィーチャーフォン向けのiモードは今後は現状維持になり、新たなイノベーションにつながる開発は、スマートフォン向けで行っていきます。」
このようにFacebook対抗軸となる動きを、スマートフォンで積極的に展開していく考えを示しており、今後ユーザー間の新しいコミュニケーション手段や、つながりを意識したコンテンツが拡充されていくと思われる。
これらの動きはFacebookと連携することでより簡易に行えることも考えられるが、ドコモは独自で展開し、ユーザーを囲い込みたい狙いが明確に見える。
来年度には販売台数の半分以上がスマートフォンになる
ドコモは2011年度のスマートフォンの販売目標として600万台を設定しているが、来年度には販売台数の半数以上がスマートフォンになると予測し、それに向けて社内準備を進めているとのことだ。
ラインナップに関しても、初心者ユーザーに向けたラインナップを拡充し、乗り換えを推進するべく動いている。
ドコモ山田社長「今のドコモのスマートフォンは、どちらかというと「機能重視」となっている。しかし、2011年の冬モデルからはドコモ全体のシリーズ構成を変えて、スマートフォンでも従来どおりの“ハイエンドモデル中心”(のシリーズ)と、使いやすさやブランドコラボを重視した新たなシリーズを用意して、ターゲット層ごとに分けてラインアップ展開をしていきたい」
今後は、機能を絞って使いやすくした端末など、高齢者をターゲットにしたものや、特定の職種をターゲットにした端末が今後リリースされていくことになるだろう。
新規契約を獲得するために「タブレット端末やモバイルWi-Fiルーター、デジタルフォトフレーム」を重視
山田社長は、携帯電話端末で新規ユーザーを獲得するのはもはや困難であると考えているようで、新規ユーザーを獲得するために「タブレット端末やモバイルWi-Fiルーター、デジタルフォトフレーム」を重視していきたい考えのようだ。
また、自動車や自動販売機などの通信モジュールに関しても、今後重要になる市場と見ている。
スマートフォンに移行が進むにつれて、おそらく通話による収益は激減していくことになるだろう。その時にキャリアにとって重要になるのは、コンテンツによる収益や新たな分野への展開ということになるだろう。キャリアにとって今後の3年間はとても重要な意味を持つのかもしれない。