世界のアクティブユーザー数が5億に迫り、勢いの止まらないFacebookが「Open Graph(オープングラフ)」を発表してから1週間が経過した。
この動きはすべてのウェブメディアに友人や自分の嗜好が反映されることを意味しており、メディアのあり方に大きな変化をもたらすと予想している。
「Like」ボタンはすべてのウェブサイトの機能になる
象徴的な存在となるのが「Like(いいね)」ボタンだ。このLikeボタンはFacebook内では以前からお馴染の機能で、友人の投稿が良いなと感じた時に「Like(いいね)」ボタンを押すことで、その投稿に「○○さんがこの投稿をいいねと言っています」という情報が付加される。これによってボタンをクリックするだけで、投稿者への意思表明と同時に、自分の友人にもおすすめすることができる。
この「Like(いいね)」ボタンがすべてのウェブサイトで簡単に導入できるようになり、「Like(いいね)」ボタンはFacebook内だけの機能からウェブサイト全体の機能へと変貌しようとしているのだ。
このボタンは、サイトに簡単に設置することができる。もちろんTECH SE7ENも導入済みだ。(ボタンは記事の最下部)
その容易さは1週間で5万サイトが「Likeボタン」を導入したことからも証明できるだろう。
フェースブックの「Like」ボタン、1週間で5万サイトが導入(CNN)
オープングラフによってなにがもたらされる?
例えばあなたが毎日チェックしているニュースサイトに訪問をした際に、現状はトップページにそのサイトが推薦する記事が並んでいる。
推薦する基準は人的に抽出している例もあれば、アクセス数を元に抽出している例もあるだろう。
もう少し進んだ例になると、ユーザーが評価した記事を表示しているところもある。
オーブングラフを導入することでどのような変化が起きるか。それはあなたがFacebookで「友人」としてつながっている人が推薦する記事がチェックできるようになることだ。
つまり不特定多数がおすすめするものではなく、信頼できる情報源からのおすすめを各サイトで参照できるようになるのだろう。
そして、どのサイトでも使える機能ともなれば使う人もどんどん増えていき、数の面でも威力を発揮してくるだろう。
ショッピング、旅行など様々な分野にも広がっていく
友人が持っている情報をくまなく聞きだすことは不可能だ。でもFacebookに友人が蓄積してくれれば、いつでも情報を取り出すことができるようになる。
例えばAmazonにソーシャルグラフを組み込んだとしたら、友人がおすすめする商品がトップページに表示されるようになり、みんなが買っている本をもれなくチェックできるようになるかもしれない。
旅行に行く際も友人がお勧めするホテル、お勧めするレストランなどがチェックできるし、誰がお勧めしているかもわかるので、詳しく聞いてみることもできるだろう。
さらにオーブングラフによってサイトはFacebookで公開しているプロフィールの情報も加味して情報を表示することも可能になる。
これはつまり、ユーザーにとっては各サイトごとに提示していた情報がFacebookにだけ提供すれば良いという話になる。
ユーザーが積極的に良いものを共有するようになる
このFacebookが提供する仕組みは多くの人が使えば使うほど精度の高い情報になる。
それは自分にとって有益な情報を取得しやすくなることであり、日に日にユーザーが実感していくことになるだろう。
そして、ユーザーはどんどん積極的に良い情報を共有するようになりソーシャルグラフはどんどん洗練されたものになる。
しかし、現状は残念ながら日本でFacebookの国内アカウント数は100万人にも及ばない。これはTwitterよりも普及が進んでいないことを意味している。
市場がないという理由もあって、日本の有名なメディアが現時点で導入している例はほとんどみかけない。
日本で「Open Graph(オープングラフ)」の威力を実感できる日はまだまだ先のことになるだろう。」
しかし、今回の「Open Graph(オープングラフ)」の登場によって、敏感な層がFacebo0kを使いはじめた動きもみられるため、一気に普及が加速することもあり得ない話ではない。
メディアはますますユーザーが主体となるメディアへ
これらの変化はマスメディアが圧倒的に支配してきた情報を、ユーザー自身がコントロールしていく時代へと大きくシフトすることになるだろう。
これは従来マスメディアが持っていた影響力を失っていくことを意味している。
インターネットは多くの人が評価する情報を見分ける手段はたくさんあるが、特定の人が評価する情報を見分けるのは難しい点があった。
最近ではTwitterがその役割を担おうとしているが、Facebookのオープングラフによって蓄積された情報が提供されようとしている。
これは大きな変化だ。
mixiがFacebookと同じ役割を日本で担えるか
私はこれは難しいと考えている。なぜかといえば、mixiは基本クローズドな性質を持っているからだ。
クローズドというのは、招待制・登録制の話ではなく、使い方の話だ。
mixiはとても仲間内の意識が強い。いまさら日記を公開できない人も多いだろう。そういった面がオープン化を邪魔することになるだろう。
私はFacebookに日本でも普及して欲しいと考えている。それがさらに便利なインターネットの世界へと導いてくれると考えているからだ。
ソーシャルメディアが新しい段階に進もうとしている。