先日、FacebookがSkypeの買収交渉を開始し30億〜40億ドルで買収しようとしていることをお伝えしたが、Microsoftが5月9日(米国時間)に交渉の場を持ちFacebookの倍額以上となる85億ドルでSkypeを買収することで合意したようだ。MicrosoftとSkypeがそれぞれ正式に発表した。
Facebookにとっては「寝耳に水」のような展開だったのではないだろうか。まさしく急展開で1日も待たずして買収が決まった形だ。
記事タイトルは私の感情的な部分が含まれてしまっているかもしれない。Microsoftが買収する話を最初に聞いたときは、なんとなく過去に時間を戻されるような気分になった。
Microsoftが買収することによって何が変わるのか
Microsoftの発表文によると、Skypeが新たにXboxとKinect、そしてWindows Phoneに対応し、MicrosoftのLync、Outlook、Xbox LiveなどのサービスをSkypeとつなげる計画であるそうだ。
一番イメージしやすいところでいうと、Outlook上でSkypeのオンライン状況がわかり、SkypeIDとメールアドレスがリンクしたり、XboxとWindows PhoneをSkypeでつなげて会話したりすることができるようになるのだろう。
そして、Microsoftにとって一番重要なのは2010年11月に発表(ITmedia記事)された社内コミュニケーションのプラットフォーム「Lync」の機能にSkypeを組み込むということだろう。
「Lync」はMicrosoft Officeなどとも連携し、複数のユーザーが共同でPowerPointを編集しながら電話会議を行うなど、仕事上のコミュニケーションをより円滑にするサービスとなっている。
Microsoftは「人々の仕事のやり方が劇的に変化し、家庭生活と仕事生活の融合が極度に進んだ」としており、Lyncを家族や友人とのコミュニケーションにも活用できるようなものとしてイメージしているようだ。
気になるその他デバイスへの影響だが、iPhoneやAndroid、MacなどのSkypeに関しても、サポートを続けることを明言している。
コミュニケーションの未来
Microsoftのスティーブ・パルマーはこのように述べている「人々が世界のどこにいようと家族や友人、顧客や同僚と気楽に繋がっていられるよう、共に、我々はリアルタイムコミュニケーションの未来を作って行きます。」
この言葉からは、Facebookが描くコミュニケーションのあり方と同じ方向性で、Skypeが様々なデバイスにシームレスに繋がっている未来をイメージさせる。
しかし、Microsoftが私たちが使いやすいコミュニケーションサービスを設計してくれるとはどうしても思えない。
なぜなら、一般のメールソフトで受信が(普通に)できないHotmailや、どんどん使いづらくなったMessengerや、全く使う気になれないWindows Liveなどのサービスを見てきたからである。
どうもサービス設計において、コミュニケーションの最適化が最優先事項でないように思えてならない。これは私の個人的な好みの問題だろうか。
Skypeはいい方向に向かっていくのだろうか。Facebookによって進められようとしていた、コミュニケーション・プラットフォームの進化を遅らせてしまう。そのような出来事のように私には映ってしまった。ユーザーにとってはFacebookが一番最適だったという想いが強い。
Skypeは墜落してしまうのだろうか。それともマイクロソフトが変わるのだろうか。
私がMicrosoftもしくはWindowsの存在を甘く見過ぎなのかもしれないが、皆さんはどのような未来をイメージしただろうか。
写真:Nils Geylen on Flickr