東芝はAndroid3.0を搭載したタブレット端末「レグザタブレット AT300」を6月下旬に発売することを発表した。
タブレット端末はiPadが80%という圧倒的なシェアを誇っているが、レグザタブレットは果たしてユーザーに受け入れられるのだろうか。
端末のスペックをまず確認してみよう。
iPad2(WiFiモデル)と比べて一回り大きく、厚さも2倍程度ある。
かなり大きめの印象のタブレット端末だが、東芝はどのような利用シーンをイメージしているのだろうか。
初代iPadの680gと比べても100g程度重く、携帯性にすぐれているとは言い難い。サイズ的にも収納できるかばんをかなり選ぶことになりそうだ。
エンターテインメント端末?
レグザタブレットの一番のこだわりはやはり液晶だろうか。
10.1型のLED液晶は、液晶テレビ「レグザ」の映像技術を応用した低解像度の映像を高精細にする高画質化技術「レゾリューションプラス」や、液晶ディスプレイの輝度や画面の色を周囲の環境にあわせ自動調整する「アダプティブ ディスプレイ」を搭載している。これにより日差しの中でもメリハリのある鮮やかな映像が楽しめるようだ。
また、スピーカーの音質を向上させる「Audio Enhancer」や騒音の中でも聞き取りやすい「Noise Equalizer」機能を設けるなど、音質にもこだわっている。
東芝はレグザタブレットの開発背景として以下のように述べている。
昨今、屋内外の通信環境の高速化が進行するとともに、外出先や寝室で電子書籍や映像コンテンツを楽しみたいという個人ユーザーのニーズも高まっています。そこで、4月に発足した新カンパニーのデジタルプロダクツ&サービス社では、液晶テレビ「レグザ」やブルーレイレコーダー「レグザブルーレイ」、ノートPC「dynabook」で長年培ったノウハウや技術を融合し、「レグザタブレット」を開発しました。
開発背景からは、電子書籍と映像コンテンツに焦点を定めていることがわかる。情報端末というよりは、エンターテインメント端末として位置づけているのだろうか。
果たして市場ニーズに合致するのか
私の経験をお話すると、iPadを利用していて一番ネックに感じるのはその重さである。
iPadを持ち上げながら電子書籍を楽しむことは皆無で、重さで手がすぐに疲れてしまうので、どこかに置きながら使用することがほとんどである。そのことから、机のない寝室で利用するのは皆無で、寝転びながらiPadを触ることもほとんどない。
リビングでテレビを見ながらiPadを利用することは多いが、ここでも重さがネックでだるく感じてしまうところがある。
iPadを購入した当初は電車で読むこともイメージしていたが、重くて現実的ではなかった。
「重さが2分の1近くになれば、どれほど利用シーンが広がるのだろう」とは常々感じている。
映像コンテンツに関していえば、自宅であえてiPadで映画を観ることは現状ない。何度かトライしたが、見やすいとは言えないし、やはり映画はテレビもしくはPCの大画面で見たほうが良い。
(iPadの場合ストリーミングコンテンツの通信速度が追いつかないことがあるのも理由の1つだが)
この点に関していえば、テレビで放送するようなコンテンツが見れるようになれば、また違うのかもしれないが、きれいな画面で見たくなる映画に関して言えば、タブレットで見ることはなさそうである。
正直わからないのが、外出時の利用イメージだ。どのようなシーンをイメージしているのか。
果たして大きくて、重くて、映像にこだわったレグザタブレットにニーズはあるのだろうか。
日本では、電子書籍や映像コンテンツのデジタル配信がほとんど普及していないこともあり、その点においてもかなり厳しい環境化にある。
しかし、東芝が同日に発表した「Book Place」はコミックや文芸書など約2万冊をそろえ、2011年度末までには10万冊のラインアップを目指すようで、東芝自らがその状況を打破しようとする動きもある。
これにはとても期待したいところだ。コミックには人気作品も並んでいて今後が楽しみに感じだ。
正直、売れるのは厳しいだろうと感じてしまうが、HDD DVDプレイヤーや液晶テレビにおける東芝のユーザーニーズを見事に反映させる仕事ぶりをみると、どこか期待したくなってしまうところはある。果たして、東芝のタブレット端末は成功を収めるのだろうか。
皆さんは「レグザタブレット」にどのような印象を持っただろうか?
・レグザタブレット公式サイト