ロンドンで続く暴動における略奪行為。その計画にソーシャルメディアが利用されているとして、キャメロン首相はSNSの遮断を検討していることを明らかにしたようだ。
キャメロン首相はこのように述べた。
情報の自由な流れは良い事にも使われるが、悪い事にも使われるとし、「ソーシャルメディアが暴力のために利用されるなら、われわれはそれを阻止しなければならない。従って、われわれは現在、警察および情報局、企業らと協力し、暴力の計画に悪用されているWebサイトやサービスの利用を遮断することが正しいかどうかを検討している」と語った。
キャメロン英首相、ロンドン暴動でSNSの遮断を検討(ITmedia)
ソーシャルメディアが悪用されているという報道が増えてきており、悪い部分に焦点が定まろうとしている。単純に悪い部分だけなのであれば「即座に遮断しろ!」という話なのかもしれないが、キャメロン首相が付け加えたように、ソーシャルメディアは良い動きにも活かされている点も見逃してはならない。
その良い動きとして広まっているのが、#RiotWomblesや#RiotCleanup(いずれもTwitterのハッシュタグ)というムーブメントだ、どちらも暴徒に荒らされた地区に掃除用ブラシを持参して集まって、みんなで清掃をして暴徒に打ち勝とうというものだ。
これらの呼びかけにTwitterが利用されており、100人~200人ほどがあつまっての清掃活動が継続的に行われているようだ。
8/10 【英国・暴動の連鎖】暴動に負けるな! 市民らが掃除用具持参で後片付け
この活動の模様を収めた動画があったので紹介したい。大変な状況を迎える中、希望に満ち溢れた人たちの表情と活気を垣間見ることができる。
MailOnlineでも素敵な写真がたくさん掲載された記事が公開されているので要チェックだ。
#RiotCleanupに関してはウェブサイトも立ち上がっている。
この他にも、暴徒に加担した証拠写真を収め人物を特定するためのTumblrを利用したまとめサイトも口コミで広まっているようだ。「http://catchalooter.tumblr.com/」
ソーシャルメディアの伝播力は、上記が示すように共感を得ることで良い方にも悪い方にも傾く。しかし、悪い面があるからといって遮断するという強硬手段は、さらなる反発を生みかねず、根本的に解決には到らないだろう。
エジプト騒乱では即座にインターネットを遮断したが、その流れを抑えることはできなかった事実もある。(もちろん今回のロンドンでの暴動とは性質が異なることは考慮すべきだが)
さらには、コミュニケーションインフラとして台頭しつつあるソーシャルメディアを失うことで、情報伝達手段を失った市民が混乱に陥る可能性さえある。もはやソーシャルメディアは「あたりまえにそこにあるもの」になっているのだ。
これからの時代は政府もメディアもソーシャルメディアの良い側面を生かして、良い流れを生み出すべく苦心すべきなのではないだろうか。